WordPressが重い原因はリビジョン?肥大化したデータベースを掃除・制御して高速化する方法

その管理画面の「もっさり感」、溜まったリビジョンが原因かも
WordPressで記事を更新している時、「最近、保存ボタンを押してからの反応が遅いな…」「管理画面がなんだか全体的に重い…」と感じたことはありませんか?
そのパフォーマンス低下の原因は、あなたが気づかないうちにデータベース内に溜まり続けている「リビジョン」かもしれません。
この記事で、データベースを軽量化し、サイトを高速化する具体的な手順がわかります
この記事では、WordPressのパフォーマンスに影響を与えるリビジョン機能について、その仕組みから、溜まってしまった不要なリビジョンを安全に「掃除(削除)」する方法、そして今後無駄に溜まらないように「制御(予防)」する方法まで、具体的な手順をステップバイステップで解説します。
この記事を最後まで実践すれば、あなたのサイトのデータベースは軽量化され、動作速度の改善が期待できます。
そもそもWordPressの「リビジョン」とは?なぜデータベースを肥大化させるのか
リビジョンの仕組み:投稿の変更履歴をすべて保存する自動バックアップ機能
リビジョンとは、投稿や固定ページを更新するたびに、その変更履歴を自動的にデータベースへ保存してくれる機能のことです。例えば、記事を編集中に「やっぱり前の文章に戻したい」と思った時に、過去のバージョンに簡単に復元できる、一種の自動バックアップ機能と考えると分かりやすいでしょう。
便利だけど…リビジョンが溜まることによる2つのデメリット
リビジョンは非常に便利な機能ですが、デフォルト設定のまま使い続けると、以下のようなデメリットが発生します。
- データベースの肥大化:1つの投稿を10回更新すれば、元の投稿とは別に10個の複製データがデータベースに溜まります。記事数が数百、数千と増えていくと、データベースは雪だるま式に肥大化していきます。
- パフォーマンスの低下:データベースが大きくなると、サーバーが目的のデータを探し出すのに時間がかかるようになり、サイト全体の表示速度、特に管理画面の動作速度の低下に繋がります。
イメージ:リビジョンは、机の引き出しに書類のコピーを無限に溜め込んでいくようなものです。最初は便利でも、やがて引き出しはパンパンになり、目的の書類を探すのに時間がかかるようになってしまいます。
【STEP1:掃除編】溜まった「不要なリビジョン」を安全に一括削除する
まずは、これまでに溜まってしまった不要なリビジョンデータを削除し、データベースをスッキリさせましょう。【最重要】作業前には、必ずサイト全体のバックアップを取得してください。
方法A(初心者向け):プラグイン「WP-Optimize」で不要なリビジョンだけをクリーンアップ
データベースを直接触るのが不安な方は、プラグインを使うのが最も安全で簡単です。
- WordPressのダッシュボードで、プラグイン「WP-Optimize」をインストールし、有効化します。
- 左メニューに追加された「WP-Optimize」→「データベース」に移動します。
- 「最適化」タブの中に、「投稿リビジョンをすべてクリーン」という項目があります。その横にある「最適化を実行」ボタンをクリックします。
これだけで、不要なリビジョンデータが一括で削除されます。このプラグインは、リビジョン以外にもデータベース内の様々なゴミデータを掃除してくれる非常に便利なツールです。
方法B(上級者向け):phpMyAdminでSQLクエリを実行し、古いリビジョンを削除
プラグインを増やしたくない、直接データベースを操作したいという上級者向けの方法です。
- サーバーのコントロールパネルなどから、phpMyAdminにログインします。
- 対象となるWordPressのデータベースを選択します。
- 「SQL」タブを開き、以下のクエリを入力して「実行」します。
DELETE FROM wp_posts WHERE post_type = "revision";
⚠️ 注意テーブル接頭辞がwp_以外の場合は、wp_postsの部分を実際の接頭辞(例:wp123_posts)に書き換えてください。SQLの実行は元に戻せないため、自己責任で慎重に行ってください。
【STEP2:制御編】今後リビジョンが無駄に増えないように管理する
データベースを掃除しても、設定を変更しなければ、またすぐにリビジョンは溜まっていきます。ここからは、将来にわたってデータベースを健全に保つための「予防」設定です。
wp-config.phpを編集する前の必須準備:バックアップ
これから行う作業は、WordPressの最重要設定ファイルであるwp-config.phpを編集します。このファイルを1文字でも間違えるとサイトが表示されなくなるため、編集前には必ずFTPソフトでPCにダウンロードし、バックアップを取得してください。
対策A:リビジョンの保存回数を制限する(推奨)
リビジョンの便利さを活かしつつ、無駄なデータが増えないように、保存する世代数を制限する方法です。最もバランスの取れた、おすすめの設定です。wp-config.phpファイルの/* 編集が必要なのはここまでです */という行の上に、以下の1行を追記します。
define( 'WP_POST_REVISIONS', 3 ); // リビジョンを3世代まで保存
数字の3の部分を、お好みの保存数に変更してください。
対策B:リビジョン機能を完全に無効化する
「変更履歴は一切不要」という場合は、リビジョン機能を完全に停止することもできます。同じくwp-config.phpに、以下の1行を追記します。
define( 'WP_POST_REVISIONS', false ); // リビジョン機能を無効化
【コラム】自動保存の間隔を変更する方法
リビジョンとは別に、編集中に自動で下書きを保存してくれる「自動保存(オートセーブ)」機能もあります。この間隔はデフォルトで60秒ですが、これもwp-config.phpで変更可能です。
define( 'AUTOSAVE_INTERVAL', 300 ); // 自動保存の間隔を300秒(5分)に変更
リビジョンを無効化する前に知っておくべき注意点
リビジョンの制御はパフォーマンスに良い影響を与えますが、トレードオフも存在します。
メリット:データベースの軽量化とパフォーマンス向上
言うまでもなく、データベースに無駄なデータが溜まらなくなるため、サイトのパフォーマンス、特に管理画面の応答速度の維持・向上に繋がります。
デメリット:誤操作時の復元ができなくなる
特にリビジョンを完全に「無効化」した場合、記事編集中に誤って文章を消してしまったり、更新後に「やっぱり前に戻したい」と思ったりしても、元に戻すことができなくなります。
最適な設定は?「無効化」より「回数制限」がおすすめな理由
以上の理由から、特別な事情がない限り、リビジョンを完全に無効化(false)にするのはおすすめしません。誤操作時の保険として、保存回数を3〜5世代程度に制限(define( ‘WP_POST_REVISIONS’, 3 );)しておくのが、利便性とパフォーマンスのバランスが取れた最も賢い設定と言えるでしょう。
リビジョンの整理は高速化の第一歩。サイト全体のパフォーマンスを見直しませんか?
データベース最適化は、サイト高速化の一部にすぎません
リビジョンの整理は、サイトのパフォーマンスを改善する上で非常に有効な手段です。しかし、本当の意味でサイトを高速化するには、画像圧縮、キャッシュの活用、サーバー環境の見直しなど、多角的なアプローチが必要となります。
WordPress高速化の全体像はこちらの完全ガイドで
今回のデータベース最適化をきっかけに、サイト全体の表示速度を本格的に改善したいと感じた方のために、原因の特定から具体的な全施策までを網-羅した完全ガイドをご用意しています。
→ WordPress高速化 完全ガイド|PageSpeed Insightsスコアを改善
データベースの専門的な診断・最適化をご希望の方へ
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まとめ:定期的な「掃除」と「制御」で、快適なWordPress環境を維持しよう
WordPressのリビジョンは便利な機能ですが、放置すればサイトのパフォーマンスを静かに蝕んでいく諸刃の剣です。
この記事でご紹介したように、定期的に不要なリビジョンを「掃除」し、今後は溜まりすぎないように「制御」する設定を行うことで、データベースを常に健全な状態に保ち、快適なサイト運営を続けていきましょう。
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