WordPressドメイン変更でSEO評価を落とさない全手順|301リダイレクトからサーチコンソール設定まで

はじめに:ドメイン変更は「サイトの引越し」。正しい手順を踏めばSEO評価は引き継げる

なぜドメイン変更でSEO評価が落ちるリスクがあるのか?

ドメインは、Webサイトの「住所」です。

ドメインを変更するということは、Googleやユーザーに対して「私たちのサイトは、この住所に引っ越しました」と正しく伝えなければならないことを意味します。

もし、この「住所変更届」の手続きを怠ったり、間違えたりすると、以下のような深刻な事態が発生します。

  • Googleからの評価のリセット:旧ドメインで積み上げてきた検索順位や被リンクの評価が、新ドメインに引き継がれず、ほぼゼロの状態からやり直しになってしまう。
  • ユーザーの混乱:古いURLにアクセスしたユーザーが「ページが見つかりません(404エラー)」となり、サイトから離脱してしまう。

ドメイン変更は、WordPressサイト運営において最も慎重さを要する作業の一つです。

この記事で解説する正しい手順を一つずつ踏めば、SEO評価を維持したまま、安全にドメインを変更することが可能です。

この記事で解説する「安全なドメイン変更」の全体像

この記事は、ドメイン変更を成功させるための完全なロードマップです。大きく分けて、以下の5つのフェーズで作業を進めていきます。

  1. フェーズ1:準備編 – 作業前の入念なチェックとバックアップ
  2. フェーズ2:実行編 – WordPress内部のURL情報を書き換える
  3. フェーズ3:リダイレクト設定編 – 旧ドメインの評価を新ドメインへ引き継ぐ
  4. フェーズ4:Googleへの通知編 – 検索エンジンに引越しを正式に伝える
  5. フェーズ5:事後チェック編 – 変更後の最終確認とメンテナンス

【フェーズ1:準備編】移行作業を始める前の必須チェックリスト

実際の作業に入る前に、以下の準備が完了しているか必ず確認してください。準備を怠ると、後工程で大きなトラブルに見舞われる可能性があります。

Check1:新ドメインの取得とサーバーへの設定

当然ですが、まずは新しいドメインを取得し、現在WordPressが稼働しているサーバーに設定(アドオンドメインなど)を済ませておく必要があります。新ドメインでアクセスした際に、何らかのページ(サーバーの初期ページなど)が表示される状態にしておきましょう。

Check2:作業前の完全なバックアップ(ファイルとデータベース)

【最重要】これから行う作業は、サイトの根幹に関わる非常にクリティカルなものです。万が一の事態に備え、作業直前の完全なバックアップを必ず取得してください。

  • ファイル:FTPソフトを使い、WordPressがインストールされているディレクトリ全体をPCにダウンロードします。
  • データベース:バックアッププラグインの利用や、サーバーのコントロールパネルなどから、バックアップ機能やphpMyAdminなどのDB管理ツールなどを利用して、SQLファイルをエクスポート(ダウンロード)します。

Check3:現サイトのSEO状況の記録(主要キーワードの順位、被リンクなど)

ドメイン変更後にSEO評価が正しく引き継がれたかを確認するため、変更前の状態を記録しておきましょう。Googleサーチコンソールや各種順位チェックツールを使い、主要なキーワードの検索順位などをスクリーンショットやCSVで保存しておくと良いでしょう。

Check4:301リダイレクトのためのサーバー要件(Apache / Nginx)の確認

301リダイレクトを設定するには、サーバーの設定ファイル(主に.htaccess)を編集する必要があります。ご利用のサーバーがApache(アパッチ)で、.htaccessの編集が可能かを確認しておきましょう。(ほとんどのレンタルサーバーは対応しています)

【フェーズ2:実行編】WordPressのURL情報を新ドメインへ書き換える

いよいよ、WordPressに登録されているサイトの「住所」を、古いドメインから新しいドメインへ書き換える作業です。手順を間違えると管理画面にログインできなくなるため、必ずこの順番で作業してください。

【重要】URL書き換えの正しい順序について

絶対にやってはいけないのが、先にWordPressの管理画面でサイトアドレスを変更することです。これをやってしまうと、その瞬間に管理画面からロックアウトされ、後続の作業ができなくなります。正しい順序は以下の通りです。

  1. まず、データベース内に含まれる無数のURLを、プラグインなどを使って安全に書き換える。
  2. 次に、wp-config.phpに新しいURLを定義する。
  3. 最後に、新しいドメインで管理画面にアクセスする。

Step2-1:データベース内の旧ドメインURLを新ドメインへ一括置換する

投稿本文や画像パスなど、データベース内には旧ドメインのURLが数多く含まれています。これらを安全に新ドメインへ一括で置換します。

方法A(推奨):プラグイン「Better Search Replace」で安全に置換する

この方法が最も安全で、初心者におすすめです。

  1. WordPressの管理画面で、プラグイン「Better Search Replace」をインストールし、有効化します。
  2. 「ツール」→「Better Search Replace」に移動します。
  3. 以下の通り入力・設定します。
    • 検索する文字列:旧ドメイン(例:http://old-domain.com)
    • 置換後の文字列:新ドメイン(例:https://new-domain.com)
    • テーブルを選択:すべてのテーブルを選択します(Ctrl or Cmd + A)。
    • 「Run as dry run?」にチェックを入れる:これが非常に重要です。まずはテスト実行(dry run)を行い、いくつの項目が置換対象になるかを確認します。
  4. テスト実行で問題がなければ、「Run as dry run?」のチェックを外し、本番の置換を実行します。

方法B(上級者向け):WP-CLIコマンドやSQLクエリで直接置換する

サーバーにSSH接続できる環境があれば、WP-CLIコマンドを使うのが最も高速で確実です。また、phpMyAdminからSQLクエリを実行して置換する方法もありますが、いずれも専門知識を要します。

Step2-2:wp-config.phpに新しいサイトアドレスを定義する

データベースの書き換え後、WordPressのルートディレクトリにあるwp-config.phpファイルに、以下の2行を追記します。これにより、WordPressは常に新ドメインをサイトの正式なURLとして認識するようになります。(データベースの値よりも優先されます)

define( 'WP_HOME', 'https://new-domain.com' );
define( 'WP_SITEURL', 'https://new-domain.com' );

注意:https://new-domain.comの部分は、ご自身の新しいドメインに書き換えてください。

Step2-3:新ドメインで管理画面にログインし、動作を確認する

ブラウザで、新しいドメインの管理画面URL(例:https://new-domain.com/wp-admin/)にアクセスします。無事にログイン画面が表示され、ログインできることを確認してください。サイトの表示やリンクなども一通り確認しましょう。

【フェーズ3:リダイレクト設定編】旧サイトの評価を新サイトへ引き継ぐ最重要工程

ここがSEO上、最も重要なステップです。旧ドメインへのアクセスやGoogleからの評価を、すべて新ドメインへ恒久的に引き継ぐための設定を行います。

301リダイレクトとは?なぜ302ではなく301なのか

リダイレクト(転送)には、主に2つの種類があります。

種類意味SEOへの影響
301リダイレクト恒久的な移転旧URLのSEO評価を、新URLへほぼ100%引き継ぐ。
302リダイレクト一時的な移転SEO評価は引き継がれない。(「元のURLにすぐ戻ります」という扱い)

ドメイン変更は「恒久的な移転」なので、必ず301リダイレクトを使用します。

【.htaccess記述例】旧ドメインの全ページを新ドメインの対応するページへ転送する

旧ドメインのサーバーのルートディレクトリにある.htaccessファイルに、以下のコードを記述します。これにより、旧ドメインのどのページにアクセスしても、新ドメインの対応するページへ自動的に転送されるようになります。

<IfModule mod_rewrite.c>
RewriteEngine On
RewriteCond %{HTTP_HOST} ^old-domain\.com$ [NC]
RewriteRule ^(.*)$ https://new-domain.com/$1 [R=301,L]
</IfModule>

注意:old-domain\.comとhttps://new-domain.com/の部分は、ご自身のドメインに書き換えてください。

wwwあり・なし、SSL化(https)も考慮した記述方法

より確実を期すために、wwwの有無も考慮した記述が推奨されます。(上記コードでも多くの場合対応できますが、サーバー環境によります)

リダイレクトが正しく機能しているか確認する方法

ブラウザで旧ドメインのURLにアクセスし、新ドメインのURLに自動で転送されるかを確認します。また、「リダイレクトチェッカー」などのWebツールを使い、ステータスコードが「301」で転送されていることを確認しましょう。

【フェーズ4:Googleへの通知編】検索エンジンに引越しを伝える

リダイレクト設定が完了したら、Googleに「私たちは正式に引っ越しました」と届け出を提出します。

Step4-1:新ドメインをGoogleサーチコンソールに登録する

まずは、新しいドメインをGoogleサーチコンソールの新しいプロパティとして登録・所有権の確認を済ませます。

Step4-2:サーチコンソールの「アドレス変更ツール」を使用する

  1. 旧ドメインのサーチコンソールのプロパティを開きます。
  2. 左メニューの「設定」→「アドレス変更」をクリックします。
  3. 「新しいサイトを選択」のプルダウンから、先ほど登録した新ドメインのプロパティを選択します。
  4. 「検証して更新」ボタンをクリックします。301リダイレクトと所有権の確認が自動で行われます。

この手続きを行うことで、Googleはより迅速かつ確実にドメインの変更を認識してくれます。

Step4-3:新しいXMLサイトマップを送信する

新ドメインのサーチコンソールのプロパティで、新しいURL構造のXMLサイトマップを送信します。

Step4-4:Googleアナリティクスのプロパティ設定を変更する

Googleアナリティクスを利用している場合、「プロパティ設定」→「デフォルトのURL」を新しいドメインに変更するのを忘れないようにしましょう。

【フェーズ5:事後チェック編】ドメイン変更後の最終確認

Googleへの通知が終わった後も、いくつか確認・対応すべきことがあります。

Check1:サイト内の内部リンクが新ドメインになっているか

フェーズ2のURL一括置換でほとんどは置き換わっているはずですが、念のため主要なページの内部リンクが新ドメインになっているかを手動でも確認しましょう。

Check2:画像やファイルへのリンクが正しく表示されるか

特にメディアライブラリの画像などが、正しく新ドメインのパスで表示されているかを確認します。

Check3:canonicalタグやhreflangタグのURLが新ドメインになっているか

これらのタグを手動で設定している場合、URLが古いドメインのままになっていないか確認が必要です。(SEOプラグインを使っていれば自動で更新されます)

Check4:主要な被リンク元サイトへドメイン変更を通知する(任意・推奨)

もし可能であれば、これまでリンクしてくれていた重要なサイトの運営者に、ドメインが変更になった旨を連絡し、リンクのURLを更新してもらうようお願いしましょう。これにより、よりスムーズにSEO評価が引き継がれます。

自力でのドメイン変更にリスクを感じる方へ

「手順が多すぎる…」「.htaccessの編集は、やはり怖い」「万が一、失敗してビジネスに影響が出たら…」――。ドメイン変更は、それだけリスクと責任の重い作業です。

コードの記述ミス、設定漏れ…ドメイン変更に潜む致命的な罠

たった1文字の記述ミスがサイトを停止させ、たった一つの設定漏れがSEO評価をゼロにしてしまう可能性があります。特に、ビジネスの根幹をなすサイトであればあるほど、そのリスクは許容できません。

【サービスページへのリンク】SEO評価を守る、プロのドメイン変更代行サービス

私たちWP保守工房では、この記事で解説した全ての作業を、お客様のSEO評価とビジネスへの影響を最小限に抑えながら、安全かつ確実に代行する「ドメイン変更サービス」を提供しています。豊富な経験を持つ専門家が、あなたの貴重なデジタル資産を守ります。

ドメイン変更について専門家に無料で相談する

まとめ:慎重な準備と正しい手順で、安全なドメイン変更を実現しよう

WordPressのドメイン変更は、決して「簡単」な作業ではありません。

しかし、この記事で解説したように、正しいフェーズと手順を理解し、一つずつ慎重にクリアしていけば、安全に完遂することが可能です。

この完全なロードマップが、あなたのドメイン変更プロジェクトを成功に導く一助となれば幸いです。

WordPressに関するお悩みは、まずは私たちにご相談ください。

  • WordPressサイトに関するあらゆる作業に対応可能
  • 大規模サイトでもお任せ下さい! 対応実績多数
  • 15年のWP対応実績 + 全ての作業を自社エンジニアで対応

ご相談・お見積はすべて無料です。まずは課題やご要件をお聞かせください。

ご相談フォーム
ページトップへ 相談
フォーム